私が大工時代から愛して止まない木は「杉」です。
杉は愛おしい。このピンク色の赤身、綺麗でしょ。
格子材ですが、この美しさ✨
ただ大工としては結構扱いにくい材です。
赤身と白太があると書きましたが、白太のところは鉋で削るのがとても難しいんです。
粉を吹きます。ものすごく切れる鉋でそっと削っても粉を吹く。親方がツルッツルに白太を削るので、どうしてと聞くと「鉋の刃を多めに出して、裏金(うらがねと呼びます。裏座とも言います)を刃口に合わせない」と。ネットから失敬した画像ですが、鉋の刃はこんな風になっています。
裏金の先っぽと刃口をなるべく近づけると本当に薄い鉋屑が出て、綺麗に仕上がりますが、杉の白太はだめなんです。裏金を近づけず、刃口を大胆に出して削ると白太もツルツルになります。
赤身は普通に削ればツルツルですが。
板目の場合ですが木表は末から削る、木裏は元から削るのも鉄則。
特に杉はそうしないと削れません。難しいんです。
あと何といっても香りが優しい。
ヒノキは苦手な方も結構いらっしゃいますが、杉の優しい香りは多くの方が好きです。
材木としての価値はヒノキの方が高い。
でも自然乾燥させるのに時間がかかるのが杉。
時間がかかるといっても杉によってマチマチで、1年で乾くもの、5年経っても乾かないものもあります。材木屋も手間がかかるんですよー。
日本の針葉樹でもっともストックがあるのが杉。
山にある針葉樹の7割が杉と思ってください。
上の絵のように山頂に近いほどヒノキ、その下は杉です。
育ちが杉の方が早く、山頂部に植えてしまうと日当たりが悪くなるからそうしているのです。
最近は杉の間伐材の集成材が出てきました。
そんな張り付けてわざわざ作るよりも、生のまんまの一本を使ってあげた方がエネルギーも使わないし、廃棄される時もチップになるし、何よりも何百年経過した建物が示すように、木の原理原則を守れば半永久的に維持されるもの。
杉をぜひ使ってあげてくださいね。
愛おしい材木ですよ〜