建替え検討されているお客様宅に訪問。
良材があるとお聞きしていたので、ワクワクしながらの訪問です。
会社より現場の方が楽しいよ、間違いなく。ただデスクワークをしないと現場が混乱するので会社に籠りっきりになりがちですが、現場で気分転換はルーティーンにしないと。
一部だけご披露。
床の間の軸掛け金物。この形状は相当古いです。鉄製で錆びているけど、結構な貴重品。

最近はこの形状ばかりです。

左と右は三福対という金物でスライドさせるものです。廻り縁にスライドできるよう溝を掘るのは結構たいへんな大工仕事だったよ。
スノコに欅の一枚板を三枚並べているという贅沢さ。これ貴重品です!欅という高級材をスノコにしているのは初めて見たよ。びっくり。

無垢板の竿縁天井。節があるのは庶民的な材でいいね。高級武家屋敷に行くと節無しの凄い材ばかり。合板じゃなく無垢なのが価値大。

天井裏でこんな細工がしてあると嬉しいのですが・・・一番下にある竹いなご。名古屋では竹いなごが大半だと思うけどね。釘を使わず板を重ねる先人の知恵。

欅の敷居と栂のフローリング。贅沢すぎる。

栂のフローリング。昔は小縁板と言ってた。栂は硬い。節が少ない。高級材だよ。

大黒柱は桧の8寸角。写真のものは6寸角かなー。太さの異なる真柱が何本もあって凄いです。

建具は腰付紙貼り障子。

立桟、横桟、框は桧管材、柾目、当然無節。
腰板は杉の巾接材で赤身のみで構成。美しいです。
こういうものを新しい家にどのように活用するか?
再利用するものを考えながらプランするのはなかなか骨が折れますが、技術屋の底力を見せないとね。
たくさんの人たちが使ってきた、見てきたものが新しい家に蘇る。いいものをつっくているからこれができる。
新建材オンリーの家にはこれはないです。
こんなお住まいを拝見させていただくと、「極めるに原点を知る」という言葉を思い出します。
サザエさんの家のように、日本人らしい暮らしにはこういうパーツがたくさんあったよね。まさにノスタルジックと言えます。柱一本の経年変化の色も、住んだ人たちの思い出がたくさん染み込んだからこその色。大切にしたい価値観です。
