築30年弱の木造戸建て。
不動産購入可否検討のための構造チェック。
耐震診断であまり指摘されないのが構造の質です。
重い家か軽い家かばかりが言われてますが、重たい家を支えるために昔の棟梁は屈強な構造躯体をつくっています。
梁が太い。火打ち梁もきれいに納めてある。新耐震基準の金物類も見えるよね。
隅木部分。この大工さん上手。仕口がビシッとついている。
母屋は米松。束と隅木は桧。垂木は米松。野地板は合板ではなく、無垢材の杉、桧混合。
斜めに打ってあるのは雲筋交いと言われるもの。これも新耐震基準で定められた材。
ほ七と書いてあります。これは番付と言われるもの。建築は横軸いろはにほへと、縦軸一番、二番・・・で材の位置を決めます。
丸太。丸太と小屋束部分にステンレス金物が施工してありますが、これはおそらく20年ほど前の訪販による耐震補強金物だと思います。神戸の震災以降、しばらく訪販で耐震金物販売施工が流行っていた。
100万円とか普通にいうのです・・・困ったリフォームオーナーさんから電話をいただいて駆逐したこともある(笑)
断熱材もきれいに入っているでしょ?
床下は当時の断熱材のまま。部分的に防湿層が破れたりしているので交換してあげたいね。
断熱受けもしっかり入っているので大工の施工としては◎ですよー。
屋根下地は野地板無垢材と書きましたが、だから劣化がしない。合板だと接着面の剥離があったりするので無垢の野地板がベストですが、耐震オンリーとなると合板しかありません。
野地板は丸太の隅っこ部分を製材してこのような使い方したものです。隙間があっても問題ないよ。
こういういいものをつくった当時の棟梁の心意気に再び息吹を吹きかけたいと思っています。