地域の木材を使って棟梁が建てる。
棟梁が奏でる木造軸組み構造は美の究極だと思います。
背割りが入った太い桧の柱。背割りは柱が変な反り方したり、割れ方しないよう工夫された現代の細工。
電動工具が発達していない戦前には背割り入りの柱はないです。
なのでよく乾燥させ、狂い、反り、曲がりが少ないであろうという木材を柱に使っていた。
上物しか柱にならなかったわけです。
大工修業時代、柱一本間違えてしまったりすると「お前より高い!バカヤロー!」でしたねぇ。
柱一本の価格が人の手間より遥かに高い時代。
材木は貴重品でした。
それだけ柱一本ができるのに、多くの人が携わっていたということ。
植林→枝打ち→間伐→伐採→葉枯らし乾燥→天日干し乾燥→製材(大昔はチョウナ斫り)→再び乾燥→正寸仕上げ→現場で大工加工という流れ。
材木屋の役割も大きくて、材のことをよく知らないと棟梁から激しく叱責されたものです。
最近は地域の国産材が売れない。
欧州産の集成材に圧倒されて工務店が使わない。大手は元々使わないので、地場の工務店が使い手でしたが、世間が国産材を使って地域と環境、未来に貢献という考え方が無くなってしまった気がします。
SDGsと言われていますが、最たるものは木材だと思います。
二酸化炭素を吸収して成長し、燃やさない限りそのままストックしてくれる素晴らしい木材。
国産材を貫く使命感が工務店にあるはず。
妥協せずにやっていく覚悟。