最近築50年以上の住まいのリフォームリノベーションのお話が複数いただき、現場調査をしていますが、どこも共通して言えるのは構造躯体が原理原則かつ、シンプル、適材適所がちりばめられているところです。
写真は松の丸太を太鼓梁にし、その上に角材の梁をかけ、小屋束+母屋+垂木+野地板と施工。
太鼓梁とはこれです。ネットから拝借。
丸太の両側をまっすぐにして横幅を揃えたものを太鼓梁と言います。
丸太のままの方が太さが出るので丈夫ですが、仕事のしやすさから言ったらこの太鼓梁。
梁に松を使うのは曲に強い材料だから使っているんです。
最近は松がもうなくて、私たちは杉とかヒノキで代用していますが、松の丸太よりもワンサイズ太くなります。このように丸太を使っている骨組みを見ると、大工さんの技量が一目瞭然で分かります。下手な人はほんとに下手ですから。この写真の大工さんはめちゃめちゃうまいです。そしてその大工さんのご自宅なので、柱の端材なども使いこなして屋根の骨組みを作っています。
ム又三と書いてあるのが小屋束ですが、上に乗っかってる母屋と幅が違うでしょ?また材種が松ではなくヒノキ。柱の端材を上手く使っています。
お客様の所ではそんなことはしないのですが、自宅ならね、みんなそういうことやるよね。このように見えないところを見ると当時の大工さんの考え方や技量が全てわかるが木造建築です。本物の木じゃないとこういう技量は見えません。
拝見するたびに、私たちは建てる数を追うのではなく、まずは日本人が長年作ってきた木造建築の伝統的な部分を厳守してお客様にご提案することをやっていきたいと思います。