長年(もう40年ですわ~笑)この仕事をやってきて、たくさんの先輩諸氏から色々なことを教えてもらいました。
大工は建物だけと思われるかもしれませんが、違いますよ。
建物を建てる土地・・・すなわち地盤というものも結構知識を持っています。
以前は地盤調査などはない時代。
どのように地盤の強弱を見分けたかと言うと
①地名
②実際のその土地の土質
③生えている草木
④土地周辺の地形
⑤近所の人
⑥過去にあった災害など
この6つで判定していたと思います。「土地の見方シリーズ」と銘打って綴っていきましょうか。
今日はまず先日下見に行った土地のあれこれ。
隣地がガクンと1.7mほど下がっています。右側は敷地で左側は人様の敷地です。
この場合、高低差があるので擁壁という考え方が出てきます。
この古いブロック塀はそのまま使えるのか?
解体して造成し直さないといけない区域もあるんですが、この地域はそういう規制はなく、このブロックを残したまま建築は可能となります。
それは安息角という考え方です。
隣地の低い所から30度の角度のラインが書いてありますが、これが安息角と言われるもの。
よく造成地で急こう配の法面を見かけると思いますが、それと同じです。
30度で土を均すと擁壁と同じになります。
ただ真っすぐな土地が無くなってしまうので、広い土地ならいいのですが、多くは真っすぐにしたいという希望が大半です。
この安息角の下まで基礎を行うことで、古いブロック・擁壁に土圧がかからないから造成し直しは不要となります。
地域によって異なるので一概に言えませんが、古いから壊さないといけないということばかりではないのです。
古くても検査済みという検査が行われた証拠があればそれでOKにもなります。
古い擁壁は検査せずにそのままになっている事も多くあります。
それで30、40年後に困る人たちが出てくるんです。
建築に携わる者たちは違法はダメです。
法規に基づいてしっかりとやる。
このような高低差の現場を見るといつもこれを思い出します。