私たちのご提案している建物は「先人たちが培った技術を貫いて、新しいデザインを融合させて」といつも思っていますが、
その技術を披露するのは職人さんたち。
私も大工の親分してきた人なので、わかりますが「気取らず、カッコつけず、自慢せず、すべきことを当たり前にやるだけ」と言う
職人が最高にかっこいいです。
こんな一コマはまさにそれを感じさせる。
語らなくても伝わるもの。
私が大工していた時は、全く評価されない時代。
どこでもいるのが大工ぐらいだったもの。
でもものづくりで妥協はしないと言うプライドは誰にも負けないと自負はしていましたよー。
大工は特に柱、梁を加工し、組み立て、仕上げていく。
親方は飯の種が材木だと言ってました。
その材木は元々命があったもの。
10年、20年では建築材には使えない。最低50年。
その長い時間をかけて育ってきた命をいただいた、人の命を守るために支える。
その命をいただいているのが大工だともよく言われました。
材木は話しません。大工も多くを語らず。
話さなくても年輪を見たり、色艶を見たり、肌で触れたりすると直感的に伝わってくるものがある。
木は生き物だから伝わるんでしょうね。
木が語るなら、大工も対話をしないと。
慈しむ、そんな気持ちで材木と向き合う時は思ったものです。
生あるものの命をいただいて、人の命・生活を支えるために作るのが建築ではないでしょうか。
この原点を忘れないようにしたい。
この写真たちはいつも私に何かを語ってくれます。